臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「お前は学生の頃って、どんな風だったんだ?」

唐突な質問に、瞬きをした。

「私ですか? 小学生の頃は殆ど弟たちの世話係ですね。中学生になった頃は、すぐ下の弟が一番下の弟の面倒を見始めていたから、私はその監督みたいな感じでした」

「お前の家も両親共働きだったのか?」

共働きってわけじゃなかったんだけど……。

「男の子が家に2人もいるとカオスなんですよ。すぐ喧嘩するし、モノは散らかし放題だし、走り回るし騒ぐし」

「ふぅん?」

一人っ子にはわからない世界なのかな?

社長だって、腕白小僧だった時代があるような気がするんだけど。

「高校生になってからはだいぶ落ち着いてました。だから、ようやく出来た自分の時間で勉強したんですよね」

「勉強は嫌いじゃなかったのか?」

「好きでもないですけど、知らない事を知るのは好きです。わからない事があれば調べられる。なんとなく答えのあるのが学生時代でしたからね」

「そうか? 大学生くらいになると、答えのない問いも増える時期だと思うが」

「そうですか?」

「白と黒以外にも、グレイがあるとは知っていたが、認識するのは高校生ぐらいからじゃないか?」

それは“勉強”では無くて、まるで“人生”のようじゃない?

ポカンとすると、社長はゆっくりと手を伸ばし、そっと私の頬に触れた。

「君は基本的にマイペースだ。それはわかるんだが……それだけでは無いから困る」

困られても困る。
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