臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
静かに考えていたら、小さな舌打ちが聞こえたのと同時に、ガラスをノックする音が聞こえた。

「休憩中かな?」

振り返ると、にこやかな副社長がそこいて、手には黒いファイルを持っている。

それを見て、社長はどこか諦めたように立ち上がり副社長を出迎えた。

「いえ。終わりました。どうでしたか」

「ああ、あまり良くない知らせになりますね」

「それは想定の範囲内です」

社長は頷いて、副社長を執務室に案内始めたからハッとして立ち上がる。

いけない。今は仕事中だった。

そんな私を社長は振り返り、視線をローテーブルに残されたコーヒーカップに落とす。

カップは空で、また社長を見るとただ頷くだけだった。


……コーヒーを淹れて来いと言うことかな?

執務室に入っていく二人を見送り、短く息を吐くと、カップを持って給湯室に向かう。


しっかりしなくちゃ。

私は臨時でも“社長秘書”なんだから。




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