臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「でも、6歳も歳が離れていれば、次第にそうなるんじゃないですか?」

だいたい社長って普段から偉そうだし、今更だよね。

苦笑すると、社長は無言でお猪口を突き出してきた。

「何ですか。飲めって言うんですか」

「それ以外に何があるんだよ。まぁまぁ旨いぞ?」

「私、今日は酔わないで帰るつもりだったのに」

お猪口を受け取ると、上機嫌に社長はなみなみとお酒を注いでくれる。

「まさかだろ? 途中で帰るならちゃんと送って行ってやるから安心しろ」

「嫌ですよ。この間も小杉さんの家まで強制連行したくせに」

「朝飯食いたいなら、また連れて行くが?」

「馬鹿じゃないですか? そういうことは言ってませんし、それに途中で帰るならってなんですか。いつまでいるつもりですか」

「とりあえず朝までだろ?」

当たり前のように言われて、私と詩織がちょっと引いた。


マジか、この男。


だけど、閉店間際まで飲んで店を出ると「次はどこの店にする?」と言う社長に、おじさんチームは音を上げた。

「若者にはついていけないよ」

羽柴さんが苦笑して、野村さんは朗らかに笑っている。

「孝介。送り狼は今時流行らないからな」

最後に副社長が、よくわからない苦言を残して帰って行った。


「送り狼ねぇ……よく言うよな」

ボソリと呟いた飯村さんに、詩織が不思議そうな顔をする。

「うちの両親の馴れ初めが、それなんだよ」

大いに納得した。
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