臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「でも……だ。前にも言った気がするが、俺は“女の子は大切にするように”と、育てられているから、そこは安心してくれ」

……ああ。そうですか。

じゃあ、女の子に“恥をかかせちゃいけません”とは、ならなかったのかな。
さすがに“誰かに運ばれる”のは初めてで、恥ずかしいんですが。

もじもじがバレたのか、小さく笑い声をあげて社長は私を見下ろす。

「時間帯的に、そんなに人がいるわけでもないんだから気にするなよ」

「……だからと言って、落ち着けませんけど」

ブツブツ言っているのを無視して、社長はズンズン歩いていく。

「……どこに向かっているんですか?」

「次の店」

「え! まだ飲みに行くつもりですか?」

「冗談に決まってるだろう。確か駅前に24時間のコーヒーショップがあった気がするんだが。少しゆっくりしよう」

そうして辿り着いた暗い駅前では、酔っ払って眠っちゃってる人や、始発待ちの若い子たちのグループがたむろってる。

今時、口笛で冷やかされながら、社長はしれっとした顔で私を下ろすと、今度は手を繋いでカフェの自動ドアをくぐった。

「いらっしゃいませ」

入った途端に薫るコーヒー豆芳ばしい匂い。
ガラス張りの店内は明るくて、眩しさに目を瞬かせてから、早くもブラックコーヒーを頼んでいる社長を眺める。
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