臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
泣いた理由……を、真面目に真正面から聞いてくる人は初めて見たよ。

でもって、彼は超がつくほど真顔になっている。

「まぁ、大変だったのはわかる。見た感じだと、お前はコトの成り行きと経緯について、成田には言っていないんだな……」

えーと。それは、社長と私の噂についてなのかな?

最近は徹底的に避けていたから、その噂も下火になっているし、春日井さんはたまにほくそ笑んでいるけど。

「詩織は……言わなくても“何かがある”んだろうとは、予測ついているみたいなので問題はないと思います」

それに事実を知っている人は少ないほうがいい。そう言っていたのは社長でしょうが。

「俺はまた、何か暴言吐いたか?」

「暴言なら、私の方が吐いている記憶があります」

たまに変なことを言うけど、あなたは暴言らしい暴言は言わないと思うなぁ。

やっぱり育ちがいいと、そういうものだろうか?

不思議に思って社長を見ると、難題に向かっている哲学者みたいな顔をして、コーヒーを飲んでいた。

「仲のいい友達は問題ない。俺が何か言ったのかと思えばそうじゃない。邪険にしても、最初の一週間を問題なく淡々とこなし、噂になってもブツブツ言いながら飄々としていたお前が、何を理由に泣くんだよ」

……おお。追求する気が満々なんだな。
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