臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
理由か……理由なんてあって無いものだ。

あなたは暴言を言ったわけじゃない。
単に“これからも奢ってやるから”って言っただけ。

これからなんてあるはずがないでしょう?

臨時で秘書になるまで何の接点もなく、朝の挨拶すら交わしたことがないのに。
その臨時秘書も、来週からは表向きはそうでは無くなるし。
そんな私と社長に、何をまかり間違って“奢ってもらう”タイミングがあると言うんだ。


出来ない約束はしない方がいい。

そう思ったのと同時に、きっと“これが最後”なんだと感じた。
最後なんて嫌だと感じた。でも、そんなの私の我儘だ。最初からわかっていたことだもん。


野村さんが復帰したら終わる事。

そのはずなのに、永続的にこの関係が続けば嬉しい……そんな事を思ってしまう。それは自分勝手だ。

だいたい、社長は“そういった関係性”は煩わしいんだし。だからこんな事になったんだし。

しかも、私には余裕はないんだし。

意を決して社長を見ると、何故か彼は引くような素振りをみせる。

「……なんだよ」

「女はワケもなく泣きたくなる時があるんです。突き詰めるのはよくありません。それに、私が泣いたとして、社長は、私にその理由を問えるような間柄ではありません」

キッパリと言ったら、社長の顔色が少しだけ陰った。

……てか、こんな事、言われなくてもわかっているんでしょうが?
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