臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「君たち、そんな事まで言い合っていたの? でも、あれだよね。君は単に社長に頼まれて“女避け”していただけだよね?」

ああ。野村さんには事情を話しているんだ。

「そうです。そもそも業務の一環だったんですけど……」

うん? そうか。

そう考えてみれば、めちゃくちゃプライベートな話をして……いや、あの時もそんな話は社長にしなくてもいいはずなのに、とか思っていた?

どっちにしろ、社長には私の婚活なんて関係ない話だった。

でも、どうしてそんな話になったんだったかな?

……まぁ、いいか。


「では、そろそろ戻ります。これ、おすそ分けしておきますね」

ポケットからチョコバーを二本取り出してデスクに置くと、野村さんが笑いながら頷いた。

「コーヒー頼まれた時に、お出ししておくよ」

何故かからかうように言われて、顔が熱くなる。

「え。い、いえ。どうぞ野村さんが召し上がってください」

それだけ言うと、秘書課に逃げ帰った。

なんなんだろうな。まったく。


「美和、お帰り。何かあった?」

詩織が訝しげにこちらを見ている。

「ううん。別に?」

「さっき羽柴さんが探してたよ」

「羽柴さんが?」

なんだろう? 社長にお持ちする書類はすでに野村さんに渡したし、見渡しても羽柴さんの姿はないし。
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