臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「さっき喉が乾いたって言っていたから、下に何か買いに行ったんじゃないの?」

「急いでいるみたいだった?」

事業部絡みの件なら、私が不在の時には羽柴さんに連絡入るからなぁ。

「どうだろう。羽柴室長ってば、大騒ぎの時でも悠然としてるから」

……確かに。古狸は読めない人だからなぁ。

用件が至急なら困るし、探し歩いていたら階下の休憩室に姿を見つけた。


「羽柴さん」

缶コーヒーを傾けていた羽柴さんが、慌てたようにそれを背中に隠す。

「やあ、西澤さん。探したんだ」

……挙動不審だから。しかも、あなたは私を探していなかった。

思わず胡乱な視線を送ると、近くからブフっと吹き出すような音が聞こえ、誰だろうと思って振り向くと、飯村さんが笑いながら立っていた。

「あれ? 飯村さん?」

なんでこんなところに?

「ダメですよ西澤さん。羽柴さん甘いコーヒーを医者に禁止されてるからこっそりしてるのに、それを見つけたら」

「え。そうなんですか? じゃあダメですよ、羽柴さん」

キリッとして言うと、古狸は唇をとがらせて拗ねた顔をする。

……うん。

「可愛くないです。ときめきません」

「君はたまに馬鹿正直で困るよ」

とてつもなーくガッカリされた。

「それはいいんですけど、確かに探されていたみたいなので、探しました」

「切り替えの速さも尋常じゃないね」

それは悪口にしか聞こえないけど、気にしないことにしよう。
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