臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「ど、どこにですか」

「今更取り繕うな。どーせお前の本性はバレバレだ」

「何をどうバレているっていうんですか。社長は私の何をご存じだっていうんですか」

私と社長は、今までそんなに接点もないじゃないですか!

「とりあえず。口が悪いってことはバレてる」

「人のこと言えるんですか!」

半ば叫ぶと、社長は重々しく頷いた。

「自分を棚に上げるつもりはないぞ? 俺はどうせ悪ガキで浅はかで底意地が悪いんだ」


おう。これは最初から最後まで、めっちゃ独り言聞かれていたみたい。

根に持つんじゃないよ“小娘”の戯言なんか!


「副社長居ないんですよ。忙しいんじゃないんですか?」

「そんなこと言ってたら時間なんて作れねぇよ。俺みたいな職種の人間はな、暇を見つけるんじゃなくて、無理やり分捕るもんなんだよ」

いや。それはそれでどうなんだろう。


「ちなみに、少しだけお前に興味が湧いた」

「は?」

「なので、でかける」

「はぁ!?」

素っ頓狂な声を上げると、社長は自室に鍵をかけ、ちょいちょいと私のパソコンを指さした。

「どうせ俺は、お前に溺愛してるって噂があるんだしな。サボってデートもいいだろう。今日は祖父さんの小言に付き合って疲れた。今日くらいは後回しにする」

「それはどうなんですか! あなた社長でしょう!? 社長自らサボりに行きますなんて社会じゃ通らないです!」

「別に仕事を棚上げするつもりもないし……」

そう言って、自らのこめかみを指さした。


「さて。お前の頭の中の俺のスケジュールで、急を要するような書類決裁書があったか?」

え。急に何を言い始めるんだろう?

そう思いながらも考えてみる。
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