臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「そんなもんかぁ?」

「そんなもんですよ。上手く社長の奥さんになれば玉の輿じゃないですか」

「それを臆面もなく、スラスラ言ってるお前はなんなんだろうな」

「なんなんでしょうね? じゃあ、社長が素だったのって、亡くなられたご両親の前くらいですか」

呟くと、社長の眉が八の字に下がった。

「それはない。小さい頃からの話し相手は、運転手の小杉くらいだろ。家政婦の勝子さんは俺が家を出てから辞めたし……」

……うん。また、何かすごいことを聞いた。

そんな事は、本当に仲良くなった人に暴露すればいいと思う。

せめて期間限定の、なんちゃって臨時秘書にするもんじゃない。


社長は常識馬鹿なのか、ただ素直なのか、天然ボケなのか、それとも計算?


「何を悩んでるんだ?」

「いえ。社長って建前って言葉は知ってます?」

とびきり余所行きの笑顔を浮かべたら……。

「お前には言われたくないくらいは理解してる」

真面目な顔で言われて笑顔がひきつりそうになった。


とりあえず、素直な気はする。

気がするだけだから、決めつけないでおくことにしよう。


「……お前はわかってないなー」

しみじみ呟かれて首を傾げた。

「何がですか?」

「俺はお前に“興味湧いた”って言っただろう」

……そんなこと、言われたかな?
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