臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「興味も何も、私は見たままの人間だと思うんですが」

「見たままの人間がどこの世界にいるんだよ。だいたい見た目だけで言えば、お前は有能な秘書の鑑に見える」

「無能と言われるより嬉しいです」

「ただ、関わってみると“母親”みたいだ。普通、年上の男を相手に世話焼くか?」


世話を焼いた記憶は……。


ああ、お弁当の事を言ってるのかな?


「ご飯食べに行かない社長が悪いんです。人間として考えなくてはならないですもん」

「人間か……まぁ、完全無欠な人間はいないよな」

そう言って芋羊羮をパクつく社長をまじまじと見る。

いきなり“人間”を語り始めたの?


「いたらどうします?」

「そんなもんは気持ち悪いだろ」

うわぁ。一刀両断したよ。


「社長は完璧を目指さないんですか?」

「完璧な人間? お前の考えている完璧な人間の定義を言ってみろ」

私の定義?

「何でもよく出来て、性格も頭もよくて、人当たりも見た目もよくて、人徳もあって……?」

指折り数えていたら、社長が呆れた顔をした。

「早死にしそうだなぁ」

それは私も少し思った。

「人間なんて清濁併せ持ってるもんだろ。良いとこもあって悪いところもあって。そっちの方が人間らしくて俺は好きだな。お前のは単なる理想。そうじゃなければ聖人」

とりあえず、社長が自分の事を“完璧”じゃないと暗に示しているのはわかった。
< 81 / 255 >

この作品をシェア

pagetop