私、今から詐欺師になります
 世間体を気にする人だしなあ。

 離婚したあと、私は、何処かへ療養にでも行ってるとか、海外で暮らしてるとか言って、誤摩化してくれればいいのに。

 穂積さんのような方を騙してお金を貰うなんて気が引けるし。

 借金も返せない。

 これから先、なにを希望に生きていけばいいのかなあ。

「……私、なんでこんなに情けないんでしょう」

 そうぽつりともらすと、玲が髪が乱れない程度に髪を撫でてくれる。

 年上のおねえさんが、子どもに、いい子いい子してくれるように。

「大丈夫。
 茅野ちゃんは充分強いよ」

「玲さん……」

「少なくとも私よりは強いよ。
 私がこんな格好してるのは――」

 そう玲が言いかけたとき、目が合った。

 すぐそこで、誰かが足を止め、こちらを見ている、

 ひ、秀行さん……。
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