私、今から詐欺師になります
 秀行の横に居た省吾がこちらに気づき、げ、という顔をしている。

 縁というものが本当にあるのなら、行く先々で出会ってしまう秀行とは、やはり、縁があるということなのか。

 強い磁力で引き寄せられるように、何処に行っても、出会ってしまう。

 お友だちとお買い物に行った先でも、よく出会うのだ。

 目が合ったので、仕方なく、茅野は立ち上がり、秀行に、玲を紹介した。

「秀行さん、こんにちは」
と言うと、玲が、夫に、こんにちは? という目で見る。

「こちら、お友だちの日高玲さんです」

 言いながら、まずいかな、とは思っていた。

 恐らく、秀行は、玲のことを知っている。

 同じビルだ。
 顔を見かけるくらいはしているだろう。

 こんな美女を見て、印象に残らないはずはない。

 ならば、穂積の秘書だということもわかっているだろう。

 ツカツカと二人の許に来た秀行は、玲を見下ろし行った。

「茅野、こいつがお前の好きな男か」

 ひいいいっ。
 なんでっ?

 追いかけてきた省吾が、社長、気でも違ったんですか、という顔で、秀行を二度見する。
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