私、今から詐欺師になります
 玲は特に否定もせずに、脚を組んだまま、冷ややかに秀行を見上げて言った。

「……茅野ちゃん、僕、男って初対面で言われたの、初めてなんだけど」

 恐ろしい人だね、君の旦那、と言う。

 初対面とは言うが、面識はあるはずだ。

 間近で口をきいたのが、今日が初めてだったのだろう。

「お前、確か、古島の秘書だったのな。
 男だったのか」
と言ったあとで、微妙な間を空け、秀行にしては、珍しく遠慮がちに訊いてきた。

「……古島穂積は、そういう趣味なのか?」

「ただの兄です、あれは」
と顔をしかめたあとで、玲が訊く。

「僕が男だって、なんでわかったんですか? 茂野社長」

「いや、今まで女だと思ってたんだが。
 今、茅野と居るお前を見て、男だとわかった。

 お前、茅野に気があるだろう、オカマ」

 ……秀行さん、言葉を選んでください。
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