私、今から詐欺師になります
「だって、お仕事中は社長です。
 私のようなものを雇っていただいて、穂積さんには大変感謝しているんです。

 秀行さん、余計なことしないでくださいね」
と釘を刺すと、

「だから、お前は何処に向かって行ってるんだ。
 仕事して自立したかったのか?

 結婚詐欺は何処へ行った?」
と言ってくる。

「穂積さんのような方が私と結婚などされるはずありませんし。
 ましてや、詐欺に引っかかるようなこと、ありえませんよ」

「いや……引っかかったんだろ?」
「いいえ」

「だって、お前が結婚してくれって言ったら、はいって言ったんだろっ?」

「おっしゃいましたけど、弾みだと思いますよ」

「っていうか、お前、穂積はお前なんかに引っかからないって。

 じゃあ、お前なんかに引っかかった俺は穂積以下かっ」
と秀行が立ち上がる。

 ひいっ、やられるっ、と茅野は頭を押さえてしゃがみ込んだ。

 だが、秀行は茅野の腕をつかんで、引きずり起こす。

「浮気してないか確かめようとした俺は正しかったなっ。
 ちょっと来いっ、茅野っ」
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