私、今から詐欺師になります
「それ、……声かけるのが怖かったからじゃないのか?」

 そんなくだらない話をしていたら、ちょうど渋い顔の省吾が出勤してきた。

「あれ? 奈良坂さん、おはようございますー」
と遠くから声をかけると、

「茅野さーん?」
と半ば睨むようにして、省吾はこちらにやってくる。

「もうなにやってくれちゃってるんですか。
 僕まで怒られちゃったじゃないですかっ」

 古島社長っ、と穂積に向き直り、
「この人雇うのなら、面倒が起こらないよう、もっとちゃんと見張っといてくださいよっ」
と言っていた。

 お前、俺まで怒るか、という目で穂積が見たとき、突然、周りがざわついた。

 みんな、一階の入り口辺りを振り返っている。

「あれ?
 ……玲さん」

 すっきりとしたスーツ姿で色白の、びっくりするような美青年が、回転扉から、入ってくるところだった。

 こちらを見て、
「おはよう」
と極普通に言ってくる。
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