私、今から詐欺師になります
「おはようございます、玲さん」
と微笑むと、玲は、あー、それね、という顔をして、言った。

「名前、ちょっと変えといてよ。
 玲の双子の兄ってことで。

 そうだね。
 玲司(れいじ)とか」

 そうじゃないと、僕、女装癖のあるオカマってことになるじゃない、と辺りの視線を窺いながら言っていたが、実際のところ、そう気にしている風にもなかった。

「いやそれ、なにかひとつでも真実と違うことがあるか?」
と穂積が冷静に言っている。

 ええーっ、と奈良坂が声を上げた。

「ええーっ?
 ほんとに男だったんですかー?

 もうーっ」

 なにがもうなんだ、と茅野は苦笑いする。

「じゃあ、僕、先に行ってるね」
と玲はさっさとエレベーターに乗っていってしまった。

 周囲の注目を浴びながら。

 しかし、長くスーツは着ていなかったのだろうに、センスがいいせいが、身体に馴染んで、颯爽と着こなしてる。

 さすがだな、と感心しながら見ていると、
「茅野さん」
と省吾が呼びかけてきた。
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