私、今から詐欺師になります
 はい? と茅野が振り向くと、
「あれは声をかけなくていいんですか?
 貴方のお好きな金持ちのイケメンですよ?」
と玲のことを嫌味に語る。

「……待って、奈良坂さん。
 金持ちのイケメンに声をかけろと言ったのは、秀行さんで、私がそういう方を好きなわけではないんですけど」

「だって、社長も古島社長も、金持ちのイケメンじゃないですか」

「秀行さんは勝手に向こうから来られたんです」

 すごい言いようだな、という目で穂積が見ていた。

「穂積さんは……」
と言いかけ、穂積を見上げる。

 なんでだろうな、うん。

 声をかけたときは、穂積が社長だとかまったく知らなかったのに。

 身につけているものが高そうなイケメンなら、このビルにはたくさん居るのに。

 うーん……。

「そうですね。
 ちょっとのその……高いものを身につけてても、ひけらかしてる感じがなくて」

「それ、うちの社長がひけらかしてるって言う」
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