私、今から詐欺師になります
「上品な感じがして」

「それ、社長が下品だって言う」

「言ってないじゃないですかっ。
 もう~っ」
と茅野は地団駄を踏む。

「奈良坂さんは、どれだけ秀行さんがお好きなんですかっ」
と言いながら、まあ、自分よりは好きだろうな、と思っていた。

 彼は学生時代から、ワンマンだが、間違いの少ない秀行に心酔しているようだから。

「私は、穂積さんを見て、ただ、こういう人と結婚してみたかったと思っただけなんですっ」

「それは、古島と結婚してないから、そう思うだけだ」

 おはよう、という声に、どきりとする。

 背後に秀行が立っていた。

「遅いぞ、省吾」

「すっ、すみません。
 寝過ごしまして」
 はは、と省吾は笑う。

 秀行はこちらを向いて言った。

「俺と結婚したから、俺に不満があるだけだ。
 古島と結婚してたら、古島のアラが見えて、たまたま通りかかった俺に声をかけたくなるだろうよ」

 そうですか? とかなりの疑問形で思っていた。
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