私、今から詐欺師になります
 だが、抱き締めても、茅野は、きょとんとしている。

 まだ自分が女だったときの意識があるので、逃げないのだろう。

 キスしても……

 それは無理かな、と思ったときには、していた。

 だが、自分で驚いて、すぐに離れる。

 茅野も驚いたようだったが、軽く瞬きをしたあとで訊いてきた。

「どうしたんですか? 玲さん」

 うん。
 どうしたんですかは、ないだろうよ。

 返答に困り、
「いや……
 僕だとどう? と思って」
と言うと、茅野は、ああ、と頷き、

「嫌じゃないですね。
 だって、玲さんですから」
と言う。

 それは……
 どういう意味なのだろうかな?

「ありがとうございます、玲さん」
「はい?」

 突然、礼を言われたよ?

「ありがとうございます。
 私にいろいろと教えようとしてくださって。

 私、玲さんに出会えて、本当によかったですっ」
と茅野は祈るように感謝してくる。

 ……そ、そうですか。
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