私、今から詐欺師になります
「行きましょう、玲さん。
 今日も一日、頑張りましょうねっ」

 はあ、そうですね。

「……茅野ちゃん、先に戻ってて。
 僕、トイレ行ってくるから」

 はいっ、と茅野はなんだかすっきりした顔で行ってしまう。

 行ったことのないこのビルの男子トイレに行って、戻ろうとしたとき、なんの用事で居たのか、見知った顔を見つけ、その襟首をつかんだ。

「うわっ」
とその男はよろける。

 振り返り、自分が誰なのかを確認すると、
「やっぱ、力強いね」
と微妙な顔で苦笑いしていた。

「今日、七時半、斜め前のビルの一階の焼き鳥屋で」

 は? と彼は言う。

 じゃ、と手を挙げ、玲は去った。




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