私、今から詐欺師になります
「放り出してくださいっ」
「放り出すか」
と言い、秀行が手を離してきたので、起き上がると、そのまま、腕をつかまれ、膝に抱えられた。

「あいつには、十億の価値がなくても、俺にはあるんだ」
と言って茅野の顎を乱暴につかむと、キスしてくる。

 茅野は抵抗するように、強く秀行の腕をつかんだ。

「茅野……」

 そのまま、その場に寝かされそうになって、茅野は、
「あっ」
と声を上げた。

 一度、秀行と目を合わせたあとで、視線を左に大きくそらす。

「幽霊っ」
と左を指差した。

 一度視線を合わせたあとで、そのまま勢いよく移動させると、人はつられる。

 よしっ、と逃げ出そうとしたが、
「待て」
と腕をつかまれた。

 秀行は視線はつられても、茅野を抑え込むことだけは忘れていなかったようだ。

「なにがよしだ。
 そんな手が通じるか、子どもじゃあるまいし」

 いや、……ちょっとつられましたよね、と思ったのだが、突っ込むのも怖かった。

 秀行は逃げられないよう、倒した茅野の上に乗って言う。

「お前、吉原に売り飛ばされたみたいだとかよく言うが。
 此処が吉原だと言うのなら、十億円分、たっぷりご奉仕してもらおうか」
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