私、今から詐欺師になります
 


 眠そうにしながら、自分の後ろをついてくる茅野を振り返り、秀行は笑う。

 まあ、あんまり無理強いしても、余計に逃げかねないからな。

 多少の温情は見せておいた方がいいだろう。

「座ってろ。
 ツマミは俺が作ってやる」

 そう言うと、はあ……と相変わらずの気の抜けるような返事をしながら、茅野はダイニングの椅子を引いた。

 余程眠いらしく、自分が軽く調理をしている間に、また、テーブルに倒れて寝てしまった。

 その間抜けな寝顔をカウンター越しに見て、秀行は笑う。

 料理をする手を止め、茅野の側に行くと、そっと抱き上げた。

 こいつの貞操観念からして、古島とはまだなにもないはずだ。

 古島も嫌がる茅野に手を出せるような性格じゃないからな。

 そのまま、ベッドに戻してやった。
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