この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
「ヒサ前に話してくれたろ?
あの指輪に一目惚れして、どうしても欲しくて、そのために受験頑張ったって」
「あ……うん。
そんな指輪が欲しいくらいでって思われちゃうけど……」
今思えば、あの時の指輪への熱意が恥ずかしくなる……。
「そんなことない。
それでも頑張ろうと思える気持ち。
夢や目標に向かえる気持ち。
すごいことだと思う。
うらやましいよ……」
そう言うと、センパイは遠くを見つめた。
夕焼けが、センパイの横顔を朱く染める。
「……」
センパイ……?
うらやましい……?
心なしか、センパイの横顔が悲しそうに見えた。