この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
「え……」
その店員さんの言葉に、すぐにガッカリとした気持ちが出た。
私よりずっと背の高い、優しそうな顔立ちの……ヒト……。
「ごめんね」
その人は私に向かって微笑むと、そう一言謝った。
ショックだった……。
メイクやファッション、そんなことに全く興味のなかった私が、このお店のウインドウに飾られたあのペアリングに一目惚れしたのは、何ヶ月前のことだろう……。
欲しくて欲しくて……どこにいても忘れられない。
毎日毎日、学校帰りに遠回りして、この店の前を通る。
今日もあった……
今日も見れた……
いつもそう思っていた。
今までこんなことはなかった。
きっと、この年まで何にも無関心な方が変なのかもしれない。
例えば年の近い人の御下がりの服だって、別に何とも思わずに着れてしまうような私だったのだから……。
こんなにも何かに夢中になることが、自分でも不思議だった。