この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
「!」
私の視線を遮るように立つ影。
一歩、二歩……私に近づく。
「私、A組の田辺っていうんだけど……。
田辺 奈々」
ベリーショートの黒髪の彼女。
「タナベ……さん?」
突然私に話かけてきた。
「柏木さん、生徒会長……優也センパイのことが好きなの?」
「えっ!?」
「私も好きなの」
「!」
あまりのストレートな言葉に、驚いて声も出せなかった。
「最近、生徒会長とよく一緒にいるけど、あなたが生徒会長の彼女になるとか、考えられない」
「……」
「3年の生徒会長にとって、今度の学園祭はラストなの。
絶対成功させたい!って、そのことで毎日頭を抱えてる。
生徒会長忙しいんだから、周りをウロチョロされると迷惑よ!」
そう言うと、田辺さんは生徒会室の中へ消えた。
あの時の、キツく重い視線……その意味が今、わかった気がした。