私に恋してくれますか?
目が覚めると、もう、昼過ぎだ。
トオルくんも身動きして、
「おはよー。ピーコ。腹が減った。」と私の顔を見てニカッと微笑む。
「私もお腹が空きました。」と言いながら、トオルくんの笑顔を見て、
やっぱりこの笑顔が好きだなって再確認する。

「一緒にシャワー浴びる?」と聞かれて、ブルブルと首を横に振ると、
「相変わらずだなあ。そんなに嫌がんなくてもいいだろ。」
とひたいにキスして起き上がり、シャワー浴びに出て行った。

私は部屋着を着て、コーヒーを淹れる。
ここにはサイフォンが持ってきてある。
家とルピナスの本店ではコーヒーはサイフォンで淹れられている。
私は家で静子さんにサイフォンの使い方を教わっていた。

ルピナスのブレンドのコーヒーを用意しながら、
冷蔵庫の中身を確認する。

静子さんが用意してくれたラタトゥイユと卵でスクランブルエッグにしよう。

そう決めて、トオルくんと交代でシャワーを浴びることにする。

「これってどこのコーヒー?」と用意したコーヒーを飲んで、トオルくんは怪訝な顔をする。

「ルピナスのコーヒー。美味しくなかった?」と聞くと、

「いや、うちで飲んでたヤツじゃないって思って…。」とそっと笑う。

「どうかした?」

「ピーコは、ルピナスの社長の娘だったなって…。」そう言って、窓の外を見た。

私は初めから日野家の娘だったけど…?

どうしたの?

今まで、一度もそんな事言わなかったじゃない…。

私はトオルくんの様子に少し不安を感じながらシャワーを浴びた。
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