乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
二人が紡ぐ新しい物語
 今日は、オフィスーRーラポールのウェディングホールプレオープンの日だ。

 待ちに待った晴れ舞台に、従業員の緊張が見え隠れする。

 会場には、白愁先生が一つひとつ手掛けた、何百本もの帯が会場を彩り、立食パーティースタイルで会見を行う運びとなる。

 雅輝は、あのあと、頬が腫れた状態で杏樹とともに社長の病室に向かった。二人で来たことに喜び、雅輝の頬に驚いていたが、理由が分かると"当たり前だ、馬鹿が。"と言われ、頭をこずかれていた。

 初めて雅輝は、殴られた理由は、自分勝手なことに怒られたからだと思っていた。

 しかし、杏樹が妊娠していて、一人で育てると言い、頑なに父親のことを言わないから、男に騙されたと思い、殴ったと聞いたとき、雅輝は、手放しに喜び杏樹を強く抱きしめた。

 その行動に杏樹の父アランは、力なくしゃがみこみ二人を許してくれたのだ。

 そんなバタバタした中、アランと社長が対面し、社長の言う株の持ち主がアランだと分かり、みんなで今後のことを協議した。


 プレオープンで、何が今からあるか知らない結城親子と専務は、自分たちが今日の主役と言わんばかりに注目を集めている。雅輝は関係者席から二人の様子を眺める。

 メディアからも注目を集め、たくさんのカメラやビデオが設置されている。同様の会社も招待しているため、会場の中には、杏樹が勤めていたリアンの関係者もいる。

 その中に、難波とかすみを見つけ、杏樹は会釈だけし、向こうは偉そうな態度をとっていた。

「本日は、ラポールのウェディングホールケのプレオープンにお集まりいただき、ありがとうございます。」

 雅輝の挨拶から始まり、和やかな雰囲気の中でお披露目が進み、ホールの説明に入る。

 白愁先生が壇上にたつと、みんなの中に緊張が走るのがわかる、挨拶が終わるとたくさんの拍手に包まれ、それだけでもこのプレオープンが成功なのが分かる。

 そして会場をさらに盛り上げたが、クリスフォード・アランの登場と、ステンドグラスの壁画の一部であった。

 会場がキラキラしたステンドグラスに魅了され、ライトアップでその壁画の色が変わると、さらに盛大な拍手が鳴り響いた。
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