乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
「雅輝、この子は…酔ってんのかな?」

「杏樹、地が出てるよ…。」

 こそっと雅輝が教えてくれた時には、すでに詰めよったあとで、"あっ…。"といいながら、慌てて座る。

「雅輝と同類ね。分かった、大丈夫だよ?」

 ニコニコ笑う悠一に、つられて笑ってしまう。

「雅輝さんといると、安心しちゃって…。」

 顔を真っ赤する杏樹の顔を見た二人は、地のままでもいいんじゃないかと、アイコンタクトをしたのを杏樹は気が付かなかった。

 その後、一頻りことの成行を悠一に話した。悠一は、最後まで黙って聞いていたが、話が終わると下を向きながら肩を振るわせ、笑いだした。

「……あはははっ!!」

「ちょっと…笑うとこないでしょ?」

「いやいや、ごめん。その男も御愁傷様だね…。てゆーか、上司に舌打ちって…あははっ!!」

「イメージが崩れるから会社じゃ笑って仕事してたんですよ。でも、さすがに、イラッとしてしまって…。」

「でも、人の企画をとったんじゃ、きっと上手く行きっこないよ。」

 急に真面目な顔をする悠一。

「急に、真面目なならないでください…。」

「悠一のいう通りだよ。企画の目玉が中々進まなくて困るんじゃない?」

 その通りだ。有休に入ってからと言うものの、会社、難波、かすみからの電話が絶えないため、ケータイの電源を切っている。

 目玉の画家とは難波は簡単には連絡を取れないため、杏樹が頼りなの事実。
 
 イメージ通りの壁画をかける人間はそうそういない。

 だが、その画家は契約をしない画家で、有名で、気に入った仕事しかせず、気に入らない仕事は絶対に引き受けない、変わり者だ。

 そう、それがいくら、身内のお願いであってもだ。

 クリスフォード・アラン フランス拠点の画家で、画風は幅広く、ホテルやチャペル等に絵を提供し、評判も高い。

 誰にも話したことないが、杏樹の実の父だ。
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