乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
 一方、雅輝は実家で結城財閥の親子と対面する。

 会社に押し掛けてくる記者に対して、社員は次々に記事はデタラメで結城財閥との関係はないと徹底して発言した。

 結城親子、特に父親は当初の目論見が外れてしまい実家までやってきたのだ。

 あやめは乗り気ではなかった。

 また、自分が嫌な思いをするんだからと、どこか他人事とのような気持ちでいたのだ。

「記事が出てしまい、あなたの会社では社員にあんなこと、言われ、うちの娘は不敏でならない。どうしたらいいのか気を病んでるとこです。」

 あやめの父が、さも自分達は被害者だとは言わんばかりの演技をする。目を伏し目がちにし、あやめの肩を大事に抱きながら、何度も何度も、不敏だと訴える。

「結城さん、そちらの娘さんには雅輝がはっきりと話しましたよ。私たちの見てる前で。恋人がいると。」

 同席していた悠一が淡々と事実を突き付ける。

「君は家族同士の話に、なんでいるんだ?」

 不快感を露にし悠一に視線を向ける。

「今、父が、出張中で私もここに住んでるんですよ。それに、結城さんは結城財閥とラポールの結束を固めるためにもと記者に答えてますよね?会社が関係するなら、本来なら私の父もここにいないと可笑しい。その代わりだと思ってください。」

 悠一は悪魔でも業務連絡を伝えるような口調であやめの父に話しかける。

 それを横目で見ながら、あやめの父はふんっと鼻で笑うだけで、何も言わない。

「結城さん。私は、会社のための結婚を息子に強いることはしたくない。愛が芽生えての結婚と愛がない結婚とでは、誰が幸せになれるだろうか。」

 その雅輝の父が話すのを聞き終わると、先程の伏し目がちな態度から変わり、あやめの父を取り巻くオーラが、明らかに変わった。

「連条社長。そこは私との考えが別れるところですね。私は、正直、愛など…まやかしにしかならないと思います。人にはそれぞれ選ばれた道があります。あやめには、優秀な男との子どもが必要なんですよ。……だから、子どもさえ出来ればいいんです、抱いてさえくれれば。」

 そういい放ち、不気味に笑う姿は狂っていると誰もが思った。これが、父親の態度なんだろうか、明らかに可笑しい。あやめは、無表情でただ横に座っている。

「抱いてくれれば、今の恋人より、気に入るかもしれません。なぁ、あやめ。」

 誰もがゾクリとし、同情してしまう。

「はい、私、損はさせません。いかがてしょう。」

 あやめが突然微笑みそんなことを話しだした。

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