乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
説明をしたあと、何も言わずに資料を見返す白愁先生の言葉を、雅輝とゆずるは固唾を飲み待っている。
自分たちはプレゼンはよく出来たと思っているが、どう映ったのだろうか。
「プレオープンまでに、私に、これだけの帯が準備出来ると思っているのかな?」
威厳のある低い声を放ち、二人をジロリと見る目には、二人がなんと答えるか試している。目を泳がすゆずると違い、雅輝は目を逸らすことなく、"お願いしたいです。"と、答えた。
「はははっ!気にいったよ!目をちゃんと見て話すやつとは久しぶりにあったわい!」
急に豪快な笑い声をだす白愁先生に二人は驚く。
「そっちの男なんて、目が泳いでおった。」
ゆずるは自分に振られ、"すみません!"咄嗟に頭を下げる。だが、気を悪くすることなく笑い続ける。
「時に、あの週刊誌は本当なのだろうか?君のゴシップは?」
雅輝は一瞬目を見開き、ゆずるは、雅輝に目をやり"ウズウズ"しだした。
「…違います。」
「そうです。副社長は、やっと好きな人と結ばれたんです!でも、最近は中々愛を育めなくて、元気ないですけどね。」
ゆずるがニヤニヤしたから話すと、雅輝に頭をポカと叩かれる。豪快に笑う白愁先生に、すっかり緊張がとけ、ゆずるがいつものヘラヘラしたように営業トークをし出したからだ。
「すみません…、本当の話ではあるんですけど…。」
顔を赤らめて話す、雅輝に白愁先生は真面目な顔をした。
「それを貫けるといいがな。結城財閥のあいつはまぁ、欲しいものは何でも手に入れる厄介なやつじゃ。今回奴も来ると聞いてな、あいつに恩は売るなよ?」
その話を二人で真面目に聞いたのだ。
「期日までにはしっかりと心配せず大丈夫じゃ。」
二人は正座したまま勢いよく頭を下げ、畳に額がつくくらい深く感謝を伝えたのだ。
それを合図に捉えた従業員が、"ご飯の準備が整っております。"と呼びに来たため、三人で食事をとる離れに向かった。
離れに行くと、大きなガチャンとお皿が割れるような音が聞こえる。どうやら、仲居が料理を慌てて落とし、その時に、どうやら飾ってあった生け花をひっくり返したようだ。
「なんてことをしてくれるの!!今から、白愁先生とラポールの副社長が見えるのよ!」
「私から女将に話をする。君はクビだ。」
「あぁ大変だ!もう商談も終わったころなのに!」
叱りつけるあやめとあやめの父の声がし、慌てる専務の声が廊下まで聞こえる。