俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

「ねぇ、気持ち悪い。加藤、小早川君のワンコは偽者よ。小早川君、加藤はかなりの腹黒よ。あんたたち、似た者同士だから。杏?こっち来る?あんたたちに挟まれてたら杏が可哀想だわ」

華ちゃん!!
やっぱり好きっ。
私の後ろに尻尾があったら、ブンブン振っているであろう。

首を縦に振り、華ちゃんの方へ移動しようと席を立つと、両側から手を引っ張られ、強引に席に座らされた。

「駄目、笠原はここ」
「杏はここでしょ?」

「「 な? 」」

私は華ちゃんの横がいい………………。

「杏?今日は朝会えなくて今やっと会えたのに、なんで離れるの?」

頭を撫でて、頬にすりよる手がそのまま耳朶をやわやわなでる。
『やっ、、』と、小さく声が出て、くすぐったくて身をよじりながら、その手を押し返す。

「えっ?なにこれ。社食でこんなんして大丈夫?まじで彼氏なの?」

「そうですよ。なので、あんまり杏に触らないで下さいね。僕、焼きもち焼きなので」

目を細めて笑顔を作っているのに、怖い。
さっきから加藤に頭を撫でられていたのも見られていた?

「━━━へぇ。まっ、でも俺、同期だし?友人関係まで口出すような狭量な王子さまでもないだろうからこれまで通り仲良くさせて貰いますよ、これまで通りね」

冷ややかな空気が流れ、視線で華に助けを求める。
やれやれと言わんばかりに華も首を振り、少し不機嫌そうに声を落とした。

「いいかげんにしなさいよ。小早川君、節度を守りなさい。加藤、華はおもちゃじゃないの。あんたも少し控えなさい。華はもう小早川君の彼女なの」

分かったよ、と加藤が席を立つ。
「先行くわ」

食べ終わったトレーを持って去っていく。
隣から黒いオーラが見える。
怖くて振り向けない。
フッと、耳に息を吹き掛けられて、ビクリと体が跳ねる。

「杏?何好きに触らせてんの?夜お仕置きだから」

小さく耳元で囁くように、怖いことを言う。
はぁ、、、もう嫌だ。
なんで私がこんな目に、、、。




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