俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
そう願うも彼女は臨戦態勢でこちらに向かってやって来る。
止めようよ。
波風たてても仕方ないじゃない。
「お疲れ様です。相変わらず加藤さんと仲良しですね。あんなにはっきり『女としてみれない』でした?そう言われたのに」
蔑むように上から見下げられる。
160センチ+ヒール5センチ、165センチもあれば身長差で上から見られるのは当たり前だが、今の彼女からはそれだけじゃなく何か威圧的なものを感じて妙に息苦しい。
「━━━━はぁ。そうですね、そう言うことも言われましたね。だけど、それが何か?私にとってはそれもどうでもいいことなので大したことではないですが」
「なら、少し自重してはどうですか?周りの視線が分かりません?」
「そうですね。では、その様に加藤さんにお伝えいただけますか?私から言っても聞き入れて貰えないんです」
あくまで淡々と。
こういうことは興奮したほうが負けだ。
冷静に、相手を挑発せず。
が、なぜか桃山さんの眉がピクリと揺れる。
あれ?私言い方間違えた?
「それは自慢?ですか?加藤さんからの一方的な思いに困ってる、ってところですか?」
そっちか!
加藤さんに責任転嫁しようと思っただけなのに、しまったな、、、。
どう言い逃れようか悩んでいると、ドンっと肩が当たり体がふらついた。
しまった、転ける。
ギュッと目をつぶり、受け身を取りたいところだが、そんなに運動神経は良くない。
重力に抵抗することなく体が床に落ち、眼鏡がカシャンと滑り落ちた。思わず伸びた手が眼鏡を掴むどころか払ってしまい、あっと、思う間もなく近くにあった階段まで滑っていき、そのまま階段へと転がり落ちているであろう眼鏡の音がした。
あーーーーーつぶれたな。
「すみませんっっ大丈夫ですか?ちょっと肩がぶつかってしまって。眼鏡、弁償します」
声音は申し訳なさそうだけど、目が怖いですよ桃山さん。
「大丈夫、です。家に帰ればスペアが2本ありますし、私が弾いたせいですから。弁償は結構です」
「そうですか?本当にすみません。じゃぁ、失礼します」
あっさりと体を翻し、怖い笑顔でフロアへ戻る桃山さん。
彼女はまだ加藤さんが好きだったのか。
あーーーー駄目。
本当に疲れた。
見えないし。
━━━━━━━━━━イライラする。