俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
華と会えたことで気分も上昇した。
これで今からの仕事も頑張れるだろう。
エレベーターで華と別れて、フロアへ急ぐ。あの状態では仕事は出来なかったとしても、結構な時間席を外してしまっていた。華が川北次長に話を通してくれていたが、先に頭を下げておこう。
ドアを開けて軽くペコリと頭を下げ、そのまま川北次長の席へ歩く。
ざわついていたフロア内が何故か歩を進める度に静かになっていた。
その不思議な現象に頭を捻りながら、上司の席の前について声をかける。
「川北次長。長く席を外してしまい申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げ、戻した先の上司が何故か私を見て目を見開いていた。
「あ、あぁ」
必死に何かを考えているような表情をして曖昧な返事を溢す。
作業中だったかしら?
邪魔しても悪いし、とそのまま席に着いたとたん、周りから悲鳴が聞こえる。
あわてて川北次長が私の席までやってきて、『か、笠原さんっ!?』と、何故か声を荒げた。
やっぱり長すぎたんだわ……。
席を立ってもう一度頭を下げた。
「次長、すみませんでした」
「い、いや、そうじゃなくて。も、もう大丈夫なのかな?ほら、川嶋さんが医務室に連れていくとか言っていたから」
「あぁ。はい、大丈夫です。眼鏡を壊してしまったもので、コンタクトを入れてきたんです。お時間申し訳ありませんでした」
「いや?いいなら良いんだ。じゃ、じゃあ又宜しく」
はい。と、頷いて再び席についてパソコンに向かった。
周りの騒がしさは相変わらずだが、今は仕事を進めなければ。
「戻りました」
と、ドアを開けて入ってきたのは恭一だった。