俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「━━━━━。眼鏡が壊れたので、その応急処置なだけです。コンタクトでもしないとパソコンもよく見えないですし、眼鏡がないと前髪が目にはいって邪魔なので華ちゃんがしてくれただけです。もういいですか?私今席をはずしてる暇はないんです」
「はっ?だからって会社で顔を出すなって言っただろ」
━━━━━━━イラッ、
「なんだってわざわざコンタクトなんだよ」
━━━━━━━イライラッ、
「眼鏡のスペアを置いとけよ」
━━━━━━━イライライライラッ、
「はぁ、、、今日、定時で終われよ。帰り送る、絶対一人で帰るなよ」
━━━━━━━イライライライラ…………
「あと、誘われても断れよ」
━━━━━━━ブチっ。
「━━━━━いい加減にしてくれませんか。離れてください」
「はっ?」
至近距離にあった恭一の顔を押し退けて、冷静になれない感情的になった声で恭一を睨み付ける。
「離してくださいと言っていますが?
帰りも送っていただかなくて結構です。定時では上がれませんので」
トンっと恭一の体を両手で押し、不意を突かれて少しよろけた隙に体をすり抜けて恭一から離れた。
「では、失礼します」
振り返らずに声だけかけて、資料室からでた。視界のはしに恭一の驚いている顔が見えた。
せっかく華ちゃんと居たことで浮上した気持ちも、あっという間に急降下だ。
あぁ駄目だ。
今日は華ちゃんとのご飯もキャンセルしよう。
ここまで落ちるなんていつ以来だろう。
フロアへ戻り、自分のデスクに着く。
あちこちから視線を感じるが、さっきから席を外しすぎたせいだろう、、、。
午後からの仕事が何も進んでいない。
華に社内メールでキャンセルの旨を伝え、泣き顔の顔文字もいれる。
すぐに、『オッケー』と『又行こうね』と返信が来た。それだけで気分もいくぶんマシになったのが分かる。