俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

気持ちを落ち着かせるために小さく深呼吸をする。
さぁ、集中しなくちゃ。

いつの間にか隣に恭一が戻ってきていたが、話す気にもなれず、無言で仕事を進める。
恭一も何も言わなかった。

定時を過ぎた当たりで、仕事も終わる目処がついた。一区切りして一度席を立つ。
結局コーヒー飲んでないや。
甘いカフェオレを入れる気にもなれず、休憩コーナーの自販機へ向かった。

あっ。
なんだか久しぶりにジュースが飲みたいかも。小さいときはグレープフルーツジュースが好きだった。あの甘酸っぱさを思い出して口の中がじゅわっと反応する。
ふっ。と、肩から力が抜けてジュースの自販機に手を伸ばした。

そのまま休憩コーナーに腰かけて、チュルルルルルーと、一息にジュースを飲み込む。
プハっと声が出た。
うん、落ち着いた。

そういえば、さっき隣に恭一が居なかった。帰ってはいなさそうだけど、、、。

「笠原さん?」

ふいに声をかけられて、顔をあげる。
座っているから見上げるようになってしまった。
1、2、3人の男の人?
誰だろう?


「…………っ、」
「ね、ねぇ。眼鏡どうしたの?」
「なんか凄く雰囲気変わったね」
「コンタクト、いいね」
「明日からもコンタクトにしたら?」
「そうそう、すげぇ可愛いよね」
「良かったらさ、今から飲みに行かねえ?」
「俺ら今から行くんだけどさ」
「行こうよ」

早口に捲し立てられて、口を挟む暇もなく手をとられた。
ゴトリと、椅子が音をたてて立たされる。

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