俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「いやっちょっ、、、」
待ってください。と、言おうとした瞬間、後ろから手が延びてきて腰をぐいっとひきよせられる。
「笠原?どうした、その格好。俺のためにイメチェンか?可愛くなったじゃん」
抱き寄せられながら頭をぐしゃぐしゃ掻き回す。
午後から見かけなかったその声の主はやっぱり加藤で、腰にまとわりつくその腕にゾクリと何故か身震いした。
慌てて腕から抜け出して、頭を捻る。
今の…………何だったんだろう。
一瞬凄く嫌だった。
「か、加藤さん。お疲れ様です」
とりあえず、この状況をどうにかすることが先決で、なんとなく見たことあるような(ないような……)営業の方たちに断りを入れる。
「申し訳ありませんが、本日はまだ仕事が終わっていないためまだ帰れないんです。それでは、失礼します」
突然の加藤の登場で、ちょっと怯んだところで頭を下げて、話を強制終了した。
そのままその場を逃げ出すように歩き出す。後ろから『じゃあ、お疲れー』と軽い口調で加藤もその場を離れている。
「おい、笠原!笠原って!おい、待てって」
早足で歩いていてもすぐに追い付かれ、手首を引っ張られる。
最近こんなのばかりだ。
給湯室へ押し込まれ、両頬に加藤の手が添えられ顔を上へあげられた。
「な、なんですかっ」
再びゾクリと体に走る。
「いや、本当に可愛いなと思ってさ。眼鏡どうしたんだ?昼までしてただろ?」
まじまじと顔を覗き込まれ、だんだんその距離も近づいてくる。
「お、落として壊れてしまったんです」