俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「あーーーーーもう!本当に勘弁して。今日、このまま放置なんて拷問でしょ」
もうすぐ駅というところまでは歩いてきていた。ぷいっと目を反らされて、止まっていた足が動き出すと、駅近くにある小さい公園に引っ張りこまれた。
ベンチに座るよう促され、隣に恭一も座った。ベンチの背もたれに体を預け、天を仰ぐように頭をそらしている。
そのぐったりとした態度に少し心配になってきた。
あまり飲んでいたように思えなかったが、酔ってしまったのだろうか。
お茶でも買ってきてあげようと、ベンチを立つと手を捕まれて引き寄せられた。
キャッっと、小さく声をあげてしまい傾く体に目をつむる。
すぐに温かく柔らかい感触と甘い匂いに包まれた。
考えたくないが、恭一の膝に横抱きに座らされて抱き締められている?
考えると恥ずかしすぎて目を開けられない。
ど、ど、ど、どうしよう!!!
さっきまでの酔いが一気に覚めるようだ。
「杏、」
抱き締める腕に力が入り、少し低い掠れた声で名前を呼ばれた。
その声を聞くだけで胸ドキドキが加速する。