俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
そう聞こえた台詞と共に腕が離されて、ホッとした瞬間いつの間にか腰に回っていた小早川君の手が腰ごと私を持ち上げた。
反射的に足が出て、そのまま立たされる。
目の前にはやっぱり加藤さんが居て、隣に小早川君が立っていた。
「あ、あの?小早川君?加藤さん?何故ここに?」
何よりも思った疑問が口に出る。
「そこのエセ王子に頼まれたのよ。杏を捕まえといてくれって。ふふふふふ」
「は、華ちゃん?」
「いやー笠原、可愛すぎるだろ。思わず声かけそびれちゃったよね。小早川固まってたし。ククク」
「か、加藤さんっっ!?」
「そりゃ帰りたくなるわよね」
「俺も連れて帰りたい」
「「ねーーー」」と、声を合わせてからかう様子は私に、というより隣で無言を貫く小早川君に向けているようだ。
分かっていても聞かれていたという事実に羞恥が全身を襲う。
ボンッと、ショートしそうなほど真っ赤になった私の手を引っ張って、いつのまに用意していたのか、小早川君が諭吉のお札を机に置いていた。
「杏の分、じゃあお先」
このままここに居るのも恥ずかしすぎるのでニヤニヤしながら手を降る二人に、手を振り替えし、彼に引っ張られるまま店を出た。