うっせえよ!





それから食事を取り、ホテルにチェックイン。



部屋にもユニットバスは付いていたけど、使う気にもならなかった。



でも、使ってないと、従業員の人に変に思われはしないか、「あの人、風呂入らなかったぞ?」なんて噂にならないだろうか。



ましてや、従業員が私のことを「大木りん」だと知っていたら……。



多少、道後温泉の効能が名残惜しいが、軽くシャワーを浴びた。軽くのぼせてしまい、缶ビールを自動販売機で一本だけ買って、その日は寝た。



誠司さんと一緒に寝ない夜。それが当たり前なのだが、部屋にいるのといないのでは、何だか不安で、寂しくて、私ってホント、どうかしてしまったんじゃないだろうか。



いつかの小説で「恋の始まりは不安から始まる。」と書いたことがある。



経験はなく、何となく哲学っぽい言葉が欲しくて書いたのだが、まさか身をもって知る日が来るとは思わなかった。




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