私のいとおしい残念な男達
「どうも課長の方が支店に移るらしい。不倫するくらいならせめてヤる場所くらい考えろってなぁ」
「ははっ、妻帯者だし金が無かったんだろ?近くて安上がりだし時間もないから、まさに『安近短』だろ?」
クックッと笑い、他人事を言いたい放題、
そいつらがこれからどんな人生を送るかなんて全く興味がないみたいだ
まぁ…………確かに安かったな
泊まりで6,900円とか、休憩だったらいくらだっただろう………
「………………」
「あれ?黒木さん、休憩ッスか?」
小会議室から、打ち合わせを終えた後輩の阿部が出てきたところで声を掛けてきた
視線だけ向けると「もしかして煮詰まってるんですか?」と指摘してきた
ほっとけよ、なんか妙に張り切って仕事してる奴に言われたくない
煙草を吸う訳でもなく、飲み物を買う訳じゃないのに、俺の向かいにあるもう一脚の長椅子に腰を下ろした
「……そう言えばお前、今度結婚するんだっけ?」
一年後輩の阿部、最近5年付き合った彼女と結婚するために会社の近くにマンションを買ったとか
「26で結婚って早いな、もしかして……」
「違いますよ、出来てませんよ。彼女が小学校の先生で忙しいんです。だからお互い時間に縛られてても一緒にいられるんで」
「ふぅん………」
別に興味ないがな、結婚とか共感できる状況が俺には全くないし………
「黒木さんは、また別れたんですか?」
だからほっとけ……
「この前あの受付の子が部署まで覗きに来てましたよ、黒木さん会議中でしたけど」
「…………」