私のいとおしい残念な男達
先にあるレールが身体を右へ左へ振り回す
スピードと、円心力で身体が投げ出される感覚の後、伏せていた顔を前に向けた瞬間
スローモーションの様な空が広がった
「小夏っ、手っ!!」
「えっ!」
隣の黒木に右手を掴まれ安全バーから引き離され上へ
それに連られて万歳のまま、更にスピードを上げたコースター
「……………っ」
浮き上がったり重力が掛かったりをそのまま受け入れ、息さえ上手く吸えないのに
なぜか今までにない爽快感を感じた
ガクンッ
一気に景色が止まったかと思うと、身体が前に持っていかれ、
それからガタガタと屋根のある囲いの終着点にゆっくり入っていった
「はぁぁぁっ………」
現実に戻されたようで、思わず声が漏れた
「お疲れさまでしたぁ」
係り員が完全に止まったコースターの肩の安全バーを順番上げ、乗降を促す
あまりに身体をコースターに任せていたせいか、降りた瞬間脚が縺れた
「あ、ごめん」
前を歩く黒木の腕に掴まり足に力を入れながら地上への階段を降りた
「へへっ、やっぱり足にきた」
テレ隠しにそう言ったのを突っ込まれないまま「また後乗ろうなっ、久々にキタだろ?」と、10歳も若返ったみたいな顔をして言った