哭く花

朝から、迎えに行ってくると宣言をしていた先生。

後ろには、きっと。

「ただいま」

先生がドアを開けて玄関へと入る。

掃除機を持つ私の手が、とまって、動くことを忘れた。

「こんにちは」

先生の後ろから、顔の小さくて細い、とても綺麗な女の人が現れた。

その時動きを取り戻した体が、掃除機を手放し、

玄関に駆け寄って、その女の人に礼をした。

「美岬、この人」

先生の声を遮って、私の声が玄関ホールに響く。

「あのっ、娘の美岬です!」

華奢な女の人がくすりと笑った。

「純さんちょっとどいて?」

その人は私の前に立っていた先生をどかすと、

私の目の前まで来て、白い指先で私の手を包んだ。

「私、宝城凛子です。純さんの、いとこ」
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