哭く花
暫くして、琥珀色の紅茶がはいったポットを片手に、凛子さんが席へ戻ってきた。
「凛子さん、洗濯物畳んでくださいましたよね、、」
「あっ、気にしないで。暇だったのよ」
伏し目がちに紅茶を入れながら凛子さんが答えた。
「美岬ちゃんくらいの年ならお昼寝が必要よ」
はいどうぞ、と凛子さんが紅茶を差し出す。
小さなティーカップからは、桃の香りがした。
「ピーチティーですか?」
「うん、気に入るといいんだけど」
ひとくち口に含むと、ほのかな甘みが広がった。
凛子さんは、飲みやすいように少しぬるめに入れてくれていた。
「...幸せを感じます」
「紅茶って幸福をくれるわよね」
はい、と返事をすると、テレビに向かっていた2人が声を上げ始めた。
「ほた兄強いんだよな〜」
「俺をなめるんじゃないよ」
学道くんはもう幾度もほたくんに負けたような様子だった。
「火垂、学道、お風呂どうするの」
凛子さんが声をかける。
その声ですっかりお風呂掃除を忘れていたことを思い出した。
「あっ、お風呂!入れてきますね」
「よろしく美岬」
先生が私に声をかけるのと同時に、リビングを出てお風呂に急ぐ。
紅茶のせいか、体が妙にホカホカとしていた。