哭く花
階下に降りて、リビングに入ろうとすると、キッチンからは美味しそうな匂いが漂っていた。

こっそり覗くと、髪を一つに束ねて赤いエプロンをつけ、フライパンを握る凛子さんの姿が。

「り、凛子さんっ」

「あ、美岬ちゃんおはよう、体調はどう?」

凛子さんは、フライパンから手を離すと、私に駆け寄り、

しなやかな手を私のおでこに当てた。

そして、熱はなさそうね、と呟いて微笑むと、

またキッチンへと戻り、

「美岬ちゃんも着替えておいで!」

と言うとフライパンを握り直した。
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