哭く花
椅子を膝の裏で押しやって立つ。
前の席のゆめちゃんが
心配そうに私を見あげた。
歩きだそうとするも、震え始める膝は、
先生からの言葉を聞く前から
悪いことを予期していた。
私が先生の方へと歩み寄ると、
ゆっくりともたげていた頭が上がり
そのままよいしょ、と立ち上がると、
英語の先生に一言、お借りします、
とだけ言って歩みを始めた。
何も言わずとも
その背中は俺について来い、と言っているようで
糸で引っ張られるかのように、
震える膝は先生を追いかけた
いつも短い廊下はとても長く感じられ、
窓を挟んだ向こう側でふる雨が、
まるで窓などないかのように
大きな音で廊下に響いた。
その大雨の狭間で、先生の背中はゆっくりと立ち止まり、
大きな双方の瞳が振り返ると同時に私を見据えた。
先生の強ばる顔が、私を動けなくする。
先生がゆっくりと口を開いた。
その刹那、
先生の前に光が走るとともに、
耳が壊れそうなほどの音が私の耳をつんざいた。