哭く花

すべての家事を済ませて、

先生の書斎へと向かうと、

卓上のコーヒーは既になくなっていた。

先生は真剣な顔で、2台のパソコンと1台のタブレット、そして紙の束と向き合っていた。

私は邪魔にならないように、そっとコーヒーカップを取ると、

リビングに向かい、カップを再びコーヒーで満たした。

そして、また書斎へと向かい、

閉まりかけていたドアの取っ手を掴む。

すると、中から、

「どうするって、明日か?うーん…予定はないけど」

誰かと約束をしているようだった。

私はいつかのように、また立ち聞きをしないよう、

少し離れた所に寄りかかって電話が終わるのを待っていた。

じゃあ、と言ったっきり声が聞こえなくなったドアの向こうを確認すると、

静かに2回、ドアをノックした。
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