哭く花
先生は、少しだけ黙っていて、
わたしも特に何も言わずに、
ただ虫の声と、風の音だけが二人の間を通っていく。
「…お風呂入れてくれたんだよな」
先生は私から視線をそらすと、
片方の手で頭を掻きながら、そう呟いた。
足元の月明かりを眺めているようだった。
「うん、入れたよ、ミント。お先にどうぞ」
「一緒に入らないか?」
私がしゃべり終わる前に、先生はそう言って、
もう一度だけ私の顔を見た。
私は、先生の言葉を理解するのに何度も頭の中で反芻した。
「沢山、話をしたい」
先生の真っ直ぐな視線が私を貫いた。