少女マンガ的社内恋愛
常務は呻くようにそう言うと、私をもっと強くギュッと抱きしめる。


「ちょっ、常務…」


頬が常務のスーツにベッタリくっつく程の腕の力に、抜け出す事は不可能になってしまった。


「冗談で同じ会社の社員に、好きだなんて言えるかよ。オレは本気だ。本気でお前の事が好きなんだよ…澄鳴………」


「………っ!?」


ウソ…常務、今私の事“澄鳴”って名前で呼んだ……!?


常務は再会してから今までずっと、私の事は“チビネズミ”か“倉金さん”、若しくは“倉金”とだけ呼んでいた。


幼少期だって、“澄鳴”と呼ばれた事は殆ど無かったハズ。
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