まじめっ娘とイケメンくんの恋
約束なんてあるわけない
彼氏なんているわけない。
あたしは一人寂しくアパートへ帰り
渡すはずのプレゼントを
ゴミ箱にそのまま捨てて
リビングでボーっとしていた。
何時間過ぎた深夜
彩子さんが帰ってきた。
「あれ?綾子居たの?」
「あ・・・うん」
「電気もつけないで
服も着替えてないじゃん
何かあったの?」
リビングの明かりをつけながら
彩子さんがあたしに言った。
「なにもする気がなくて」
「何よぉ!彼と何かあったの?」
「恋をするって苦しいことなんですね
こんなことなら
好きにならなきゃよかった」
「何?何?」
「いいことなんて何もない
ただ苦しいだけ」
「ちょっとぉ~綾子ぉ
何があったのよ
喧嘩したの?」
「ううん・・・」
「じゃあ何?」
言えない 言ったら筒抜け。
「ドラマーと何があったわけ?」
貴生さんじゃないけど
ここは訂正しない。
「彼女がいたの」
「はぁ???」
「あたしより はるかに綺麗で
スラッとしてて・・・
そんな人がいるとは思ってなくて」
「えっ!何?二股かけられてたの?」
二股じゃないな
あたしが一方的に思ってるだけ。
「二股じゃないよ
何て言えばいいのかわかんない」
「聞いてるあたしもさっぱり
わかんないよ?
まぁ、結論的に言うと
やめなさいそんな男」
「ですよね
わかってます
諦めようと思ってるんです
だからこうして酔っぱらいたくて
飲んでるんですけど酔えないんです」
「あんた!飲んで忘れようと?」
あたしの酎ハイの缶を取り上げると
笑い始めた。
「これじゃよえないわね
これノンアルだもん」
あ・・・コンビニでとりあえず買ったのが
ノンアルとは・・・。
つくづく自分のバカさに
嫌気が差す。
「もう寝ます 眠って忘れます」
寝て忘れられるなら
簡単なんだけどね。